デバイス破壊からの保護およびデバイスの正常動作を保証するために、
ジャンクション温度(PN接合部の温度)の管理が非常に重要になります。
マイコンやプロセッサなどは温度センサーを内蔵し、ジャンクション温度を計測できる製品もありますが、
ロジック製品などは熱抵抗や熱特性パラメータを用いてジャンクション温度を算出します。
出典:SN74LVC1GU04データシート REVISED DECEMBER 2017版(Texas Instruments社)
【ΨJTについて】
TI社が提供する最近のデータシートには、熱特性パラメータΨJT(プサイ・ジェー・ティーと発音します)が記載された製品があります。
TI社は、実システムのジャンクション温度に最も近い値を算出する係数としてΨJTの使用を推奨しています。
ジャンクション温度は、
Tj = Tt + (ΨJT x Power)
Tj :ジャンクション温度
Tt:パッケージ上面の温度
Power:消費電力
にて求められます。
【RθJAについて】
熱抵抗RθJAは、ジャンクション温度を算出するために従来より用いられていました。
ジャンクションと周辺の熱抵抗となります。
下に示すような過去のパッケージでは、デバイスから発生する熱はパッケージ表面からの放熱が多くを占めたので、
ジャンクション温度を算出する係数としてRθJAは有用でした。
一方、現在の表面実装デバイス(SMD)においては、熱の大半は基板を介して周囲に放熱されます。
そのため、ジャンクションと周辺の間の熱抵抗は基板の設計、部材の配置等によるところが多く、
RθJAを用いて算出したジャンクション温度と実システムのジャンクション温度との乖離が大きくなっています。
ジャンクション温度は、
Tj = Ta + (RθJA x Power)
Tj :ジャンクション温度
Ta:周辺の温度
Power:消費電力
にて求められます。
旧来のパッケージ (出典:Using New Thermal Metrics December 2009版(TI社))
【RθJCについて】
RθJCは、ヒートシンクを実装する際のジャンクションとケース(Case)間の熱抵抗値を表す目的で考案されました。
RθJA同様、実システムのジャンクション温度との乖離が大きくなりやすいので、使用はお奨めしていません。
ジャンクション温度は、
Tj = Tc + (RθJC x Power)
Tj :ジャンクション温度
Tc:パッケージ表面の温度
Power:消費電力
にて求められます。
以下FAQおよび資料をあわせて参考にしてください。